独自データ分析
評価は年々上がっている、だから個別店の推移だけを見ても意味がない
公開: 2026-07-31
ガチスコが収集したクチコミを基に、年ごとの星の平均値推移を見てみました。
データソース: 直近8年分の、Googleクチコミ50件以上の栃木県の飲食店3,335店
この記事のポイント
- 栃木県の飲食店全体の評価が年+0.05ずつ底上げされている。結果的に、2019年★3.64 → 2026年★4.00まで上昇。
- 評価のインフレが起きており、もはや「星4は高評価ではなく、平均値」。
- ジャンルを問わず一様に起きている。
- この上昇はステマ投稿が増えたせいではない。Google評価(年+0.03)よりガチスコ方式(年+0.05) の方が上昇率が高く、むしろGoogle側のステマ対策は進んだと言える。
- 市場の底上げを差し引いてもなお動いている店を調べると、評価を落とす理由には共通項があるのに、評価を上げる理由には共通項がなかった。
栃木県の飲食店、評価は年々上がっている
対象3,335店のクチコミを年別に平均すると、次のように推移していました。 比較のため2本並べています。上段がGoogleに付いた星をそのまま平均した「Google評価」、 下段が「ガチスコ方式」——本文つきの投稿が少ないアカウントを除き、 ★4以上は本文のあるものだけを算入した平均です。
年別平均評価(栃木県・飲食3,335店のクチコミ1,112,086件)
- 2019年★3.92★3.64(28,060件)
- 2020年★3.96★3.68(67,944件)
- 2021年★4.01★3.79(72,113件)
- 2022年★4.03★3.84(82,229件)
- 2023年★4.05★3.88(100,322件)
- 2024年★4.08★3.91(103,635件)
- 2025年★4.12★3.97(150,217件)
- 2026年★4.15★4.00(68,827件)
2019年の★3.64から2026年の★4.00まで、ほぼ一直線に上がっています。 ジャンル別に見てもラーメン(+0.05/年)から焼鳥(+0.02/年)まで幅はあるものの、調べた19ジャンルすべてで例外なく上昇していました(対象店が20店に満たないジャンルは、数店の動きがそのまま中央値になるため除いています)。 特定の人気ジャンルが押し上げているわけではなく、栃木県の飲食店全体で 起きている底上げです。つまり年々、人々のGoogleレビュー評価が甘くなってきている、評価のインフレが起きているということです。
もはや「星4は高評価ではなく、平均値」になっていたのです。
そして2本を見比べると、年々Google評価とガチスコ方式の差が縮まってきていることがわかります。 Google評価は年+0.03に対し、ガチスコ方式は年+0.05。2本の差は2019年の0.28点から2026年には0.15点まで縮んでいます。 この差は「本文つきの投稿が少ないアカウントの星」や「本文のない高評価」による嵩上げ分にあたるので、 これは年々Google側のステマ対策が進んできていることの裏付けと考えられます。 これはユーザーからするとありがたいですね。
星のインフレを差し引いた、伸びている店、落ち行く店
店ごとの年別平均から、同じ年の市場全体の平均を引くと、そのお店の実質の星推移が見えてきます。 市場と同じペースで動いているだけの店は横ばいになり、市場以上に良くなった/悪くなった店だけが傾きを持ちます。
乖離傾きの内訳(4年以上のデータがある3,335店)
- 市場を上回って上昇(乖離傾き+0.08/年以上)419店(13%)
- 市場と同程度(横ばい)2,223店(67%)
- 市場を下回って下降(乖離傾き-0.08/年以下)693店(21%)
実例:上昇率が大きい上位5%と、下降率が大きい下位5%
ここで挙げるのは、乖離傾きが上位5%(167店・+0.13/年以上)と下位5%(167店・-0.17/年以下)の店です。 上昇していた店は好意的な内容のため店名を出しています。 下降していた店は実在店舗の不利益記述になりうるため、ジャンルと数値だけを載せています。
市場を上回って上昇
2023年★2.69(市場★3.88) → 2026年★4.33(市場★4.00)
乖離傾き +0.563/年・母数69件
2023年★2.71(市場★3.88) → 2026年★4.30(市場★4.00)
乖離傾き +0.465/年・母数204件
2022年★2.80(市場★3.84) → 2026年★5.00(市場★4.00)
乖離傾き +0.4/年・母数36件
市場を下回って下降(店名は伏せています)
ラーメン
2023年★4.07(市場★3.88) → 2026年★1.83(市場★4.00)
乖離傾き -0.691/年・母数47件
スイーツ
2022年★4.86(市場★3.84) → 2025年★3.29(市場★3.97)
乖離傾き -0.531/年・母数73件
カフェ
2023年★4.52(市場★3.88) → 2026年★3.00(市場★4.00)
乖離傾き -0.525/年・母数113件
上昇している店に、共通点は見つからなかった
まず上昇側です。市場を上回って上昇していた419店について、 店舗ページのAI要約(良い点)に何が書かれているかを、それ以外の店と比べました。 比較できたのは、良い点の要約がある125店です。
良い点テーマの言及率(上昇419店 vs それ以外の店)
- 子連れ・ファミリー向け上昇6% / 他2%
- 接客・スタッフ対応上昇83% / 他76%
- 雰囲気・落ち着き上昇18% / 他16%
- 新鮮さ上昇10% / 他9%
- 駐車場上昇0% / 他1%
- 個室・プライベート感上昇3% / 他2%
- 待ち時間・混雑上昇1% / 他1%
- コスパ・価格上昇43% / 他44%
- 清潔感上昇5% / 他6%
- 味・美味しさ上昇32% / 他38%
- 量の多さ上昇22% / 他31%
結論から言うと、11テーマのどれ一つとして、統計的に意味のある差は出ませんでした(有意差ありと判定できたテーマは0)。最も言及率が高いのは「接客・スタッフ対応」の83%ですが、それ以外の店も76%あり、ほとんど変わりません。 「味・美味しさ」にいたっては、上昇店の方がむしろ言及率が低いくらいです。
つまり「こうすれば評価が上がる」という一つの型は見つかりませんでした。 子連れ対応や個室のように上昇店でやや目立つ項目はありますが、 いずれも該当店が数店しかなく、偶然の範囲を出ません。 伸びている店は、それぞれ違う理由で伸びている——というのが実際のところのようです。 ところが、次に見る下降側はまったく様子が違いました。
下降している店に共通するのは、味ではなく接客だった
同じことを下降側でもやってみます。市場を下回って下降していた693店について、 今度は店舗ページのAI要約(注意点)に書かれている内容を、それ以外の店と比べました。
注意点テーマの言及率(下降693店 vs それ以外の店)
- 接客・スタッフ対応★下降36% / 他25%
- 量の物足りなさ下降3% / 他2%
- コスパ・価格の高さ下降32% / 他31%
- 味の感じ方の差下降13% / 他13%
- 清潔感の不足下降0% / 他0%
- 駐車場下降25% / 他28%
- 雰囲気・環境下降8% / 他10%
- 待ち時間・混雑下降34% / 他40%
8つのテーマのうち、統計的に有意な差が出たのは「接客・スタッフ対応」だけ(下降店36% vs それ以外25%)でした。 味の感じ方の差やコスパ・価格の高さはほぼ差がなく、 駐車場や雰囲気はむしろ下降店の方が言及率が低いくらいです。
ジャンル構成にも目立った偏りはなく(下降店に特定ジャンルが集中しているわけではありません)、飲食ジャンル別・高評価店舗の共通点で見た「差は注意点にあった(接客のムラ・バラつき)」という結果と同じ方向を指しています。 味が落ちたというより、接客の質が保てなくなった店から評価を落としている、というのが実態に近そうです。
集計方法と注意点
- 対象は栃木県の飲食店のうちGoogleクチコミが50件以上ある店 (データ取得時点: 2026-08-03)。クチコミ200件を超える店は通常の収集だと新しい200件しか 残らないため、深掘りモードで過去年分まで遡って取得し直しています。
- 年別平均には、投稿日の新しい順に取得したクチコミだけを使います。水増しを打ち消すために 評価の偏りを狙って集めたクチコミ(層化パス)は年代が偏るため、年次推移には使いません。 なお層化パスを走らせているのは200件を超える店だけで、それ以下の店は収集した時点で全件が新しい順に揃っているため区別の必要がありません。
- 2019年より前は集計していません。過去へ遡る深掘りが2020年ごろまでしか届いておらず、それ以前の年は クチコミの大半が小規模店のものになります。そのまま並べると「店の質の変化」ではなく 「年ごとに別の店を見ている」ことによる段差が出るため、母集団の構成が安定する年からに限りました。
- グラフ上段の「Google評価」は、有効レビューの絞り込みだけを外して同じクチコミを単純平均したものです。 Googleが店舗ページに表示している星(全期間の平均)そのものではありません。 2本の差以外の条件(対象店舗・対象年・投稿日)は完全に揃えてあります。
- グラフ下段の「ガチスコ方式」は、ガチスコ本体そのものではなく、有効レビューの判定をガチスコの見方・使い方ガイドと同じ考え方(本文つきクチコミが2件以下のアカウントは除外、★4以上は本文のあるものだけ算入)で簡略適用した年別平均です。 層化推定などガチスコ本体の補正は掛けていません。
- 1年あたり5件以上のクチコミがある年だけを使い、4年分以上のデータが揃う店に限定しています。
- 乖離傾きは「店の年別平均 − 同年の市場全体平均」を年に回帰した傾きです。
- 実例と、テーマ比較の対象は範囲が違います。実例は乖離傾きの上位/下位5%(各167店)から選んでいますが、 テーマ比較の対象は乖離傾き±0.08/年を超えた店 (上昇419店・下降693店)です。 上位/下位5%まで絞ると、AI要約のあるお店が各167店中の数十店まで減り、 差があっても検出できなくなるためです。
- 良い点/注意点のテーマ比較は、AI要約を生成済みの店だけが対象です (良い点125店 vs それ以外1,105店、 注意点235店 vs それ以外991店)。 テーマを同時に検定すると偶然「差がある」ように見える確率が上がるため、 有意水準0.05をテーマ数で割るボンフェローニ補正をかけて判定しています。 上昇店側で有意差が出なかったのは「差がない」ことの証明ではなく、この母数では差を検出できなかったという意味です。
- 下降店の実例は個別の店舗を批評する趣旨ではないため、店名は伏せてジャンルと数値のみを載せています。 上昇店の実例は好意的な内容のため店名を表示していますが、閉店済みの店は候補から除外しています。